
「自衛隊とは違う。けれど、この場所にも“守る”という使命がある」
自衛隊という安定した組織を離れ、私は今、民間のトレーニング施設でGWO(Global Wind Organisation)インストラクターとして働いています。
担当しているのは、風力発電業界の国際基準に基づいたBST(Basic Safety Training)4モジュールと、より専門的な救助訓練であるART(Advanced Rescue Training)です。
この仕事を通じて実感したのは、ただ知識や技術を伝えるだけではない、「命を守る意識」を育てるという重み。そしてそこには、民間ならではの柔軟さやチームワーク、やりがいが詰まっていました。
日本中、世界中から集まる受講者たち
私が働く施設には、日本全国はもちろん、海外からも多くの受講者が訪れます。
受講者の出身地の一例
- 北海道から沖縄までの全国各地
- 離島(対馬、奄美大島、石垣島など)
- インド、ミャンマー、ネパール、台湾、韓国、ヨーロッパ諸国



「言葉の壁があっても、“安全”は誰にとっても共通のテーマです」
英語が得意なわけではありませんが、翻訳担当の同僚や、資料の多言語対応のおかげで、大きな支障はありません。民間施設ならではの柔軟な連携体制に日々助けられています。
多様なスタッフと築く、風通しの良い現場
この職場には、さまざまなバックグラウンドを持つインストラクターが集まっています。
- 現場経験が豊富なベテラン
- 元消防士
- 女性インストラクター
- 専門性に強い若手人材
年齢や性別、経歴にとらわれず、互いの強みを尊重し合う風土があります。



「ここでは、“誰が上か”ではなく、“何を伝えられるか”が大事にされる」
上下関係に縛られず、自分の意見を自由に発信できる空気があり、その中で成長を感じています。
BST4&ARTで伝える“命を守る力”
私が担当している**BST(Basic Safety Training)**は、風力発電に関わる現場で必要とされる基本の安全教育です。
BST4の構成モジュール
- 高所作業(Working at Heights)
- 応急処置(First Aid)
- 消火(Fire Awareness)
- マニュアルハンドリング(Manual Handling)
これらに加え、ART(Advanced Rescue Training)では、高所や閉所での救助、チームでの連携訓練、搬送技術など、より実践的な訓練を行っています。
教育スタイルの特徴
- 実技重視(例:ハーネス装着、ロープワーク、応急処置)
- 少人数制で受講者一人ひとりに丁寧なフィードバック
- 実際の事故事例や現場経験を反映した指導内容



「“想定外”を想定する力。それが命を守る第一歩だと伝えています」
受講者からの「実際にこんな場面がありました」といった話は、私自身の学びにもなり、現場をリアルに捉えるきっかけになっています。
単身赴任生活と、家族とのつながり
現在は職場近くのアパートで単身赴任中。生活はシンプルながら、非常に充実しています。
平日のルーティン
- 朝の軽い筋トレ
- 出勤後の清掃
- トレーニング実施
- 夜は自炊と軽い晩酌
施設の近くにある社宅は整備も行き届いており、心身ともに落ち着いた環境です。
週末には自宅に戻り、家族と過ごす時間をしっかり確保しています。



「会える時間が限られているからこそ、1分1秒が貴重になる」
家族とのLINEでのやりとりや、ちょっとした外食の時間が、かけがえのないひとときです。
“美化”へのこだわりが、施設の空気を変える
私は朝、出勤するとまず施設の清掃を行っています。これは単なる掃除ではなく、“環境づくり”の一環です。
清掃がもたらす効果
- 学ぶ場としての空気感が整う
- 受講者のモチベーションが上がる
- スタッフ自身の意識にも変化が生まれる



「“きれいな施設ですね”という一言が、何より励みになります」
こうした小さな取り組みが、全体の安全意識や組織文化の基盤になると感じています。
民間ならではの柔軟さが、やりがいに変わる
自衛隊時代は「命令に従うこと」「チームで動くこと」が基本でしたが、今の職場では**“自分で考えて動く力”**が求められます。
最初は戸惑いもありましたが、今ではこの自由さが大きな魅力になっています。
民間で働く楽しさ
- 現場の声を直接反映できる
- 年齢や肩書ではなく、行動で評価される
- 自分なりの工夫が成果に直結する



「転職して、“自分の判断で動く面白さ”を実感できました」
「気づき」を届ける存在でありたい
安全教育とは、単なる技術の習得ではありません。
それは、現場で働く一人ひとりが「どう行動すれば命を守れるのか」を**自ら考える“気づきの教育”**です。



「あ、これ危ないかもしれない”という感覚が、一人の命を救うかもしれない」
私は、そんな気づきのスイッチを届けられる存在でありたい。
そして、受講者と同じように、私自身も成長を続けていきたいと考えています。
あなたへ
もし今、「転職しようか」「自衛隊を離れるべきか」と迷っている方がいるなら、
民間での“安全”というテーマに一度触れてみてほしいと思います。
私が見た新しい景色は、不安の中に確かなやりがいと学びがありました。
この記事が、あなたの一歩を後押しするきっかけになれば幸いです。