自衛官の定年年齢【階級別一覧】
自衛官の定年は、一般の国家公務員よりも早く設定されています。これは「若年定年制」と呼ばれ、体力・即応力を維持するための制度です。
2024年10月時点の階級別定年は以下の通りです。
- 将・将補:60〜62歳(幕僚長などトップ職は62歳)
- 1等佐(大佐級):58歳
- 2等佐・3等佐(中佐・少佐級):57歳
- 尉官(1尉〜3尉)、曹長、1曹、准尉:56歳
- 2曹・3曹:55歳
- 医官・警務官・音楽隊など専門職:一律60歳
つまり多くの自衛官は 50代前半〜半ばで退職 を迎えることになります。
なぜ自衛官の定年は早いのか?【制度の背景】
自衛隊は「常に精強であること」が求められます。
そのため、体力・即応力を重視し、若年での退職を前提とした制度が作られました。
一方で、警察官や消防官の定年はおおむね60歳。
自衛官は平均で53〜56歳と、それよりさらに早く退職するのが特徴です。
海外を見ても、米軍や英軍は50代前半で退役するケースが多く、国際的にも「早期退役」がスタンダードだといえます。
最近の定年引き上げ動向
人材不足や装備の高度化に対応するため、近年は定年延長が段階的に行われています。
- 2023年10月:尉官(1尉〜3尉)、曹長・1曹 → 55歳 → 56歳
- 2024年10月:1佐〜3佐、2曹・3曹 → それぞれ1歳延長(例:1佐 57歳→58歳)
今後さらに延長される可能性はあるものの、現時点では未定です。
定年後に利用できる制度と支援
再任用制度(元自衛官の再採用)
一度退職した元自衛官を再び採用する仕組み。年齢制限や試験はありますが、**「もう一度制服を着たい」**という希望を叶える道でもあります。
自衛隊援護協会による再就職支援
退職予定者は半年以上前から援護協会の支援を受けられます。
- 資格取得の例
- 大型自動車免許 → トラック・バス運転手
- 危険物取扱者 → 工場・プラント勤務
- 介護職員初任者研修 → 福祉施設勤務
- 支援の流れ
- 進路面談
- 求人紹介・合同説明会
- 履歴書・面接対策
「職を選ばなければほぼ再就職できる」と言われるのは、この仕組みがあるからです。
退職金・若年退職者給付金(若退金)
20年以上勤務で退職すると、退職金に加え「若退金」が支給されます。
金額は階級や年数によりますが1000万円前後。生活再建の大きな助けになります。
定年後の収入はどうなる?【年収が下がるケースが多い】
ただし、再就職後の収入は現役時代に比べて下がるのが一般的です。
- 幹部(佐官以上):企業の顧問や自治体職員として再就職し、比較的安定。ただし現役時代の給与よりは低め。
- 曹士クラス:警備・防災・物流・運転業務などが多く、年収200万〜300万円台に落ち込むケースも少なくありません。地方勤務では月給手取り20万円以下になることも。
- 全体傾向:防衛省は「退職金+若退金+再就職後の給与」で現役時代の約75%の水準を維持できるように設計していますが、実際にはさらに低くなることもあります。
自衛官生活で感じた誇りと葛藤【体験談】
私は長年、自衛官として国家に仕えてきました。
レンジャー課程での極限訓練、部隊格闘の指導官として部下を鍛えた日々──。それらは私の人生の土台となり、今も自分を支えています。
しかしその裏で、家族との時間を犠牲にしてきました。
突発的な招集で旅行をキャンセルしたこともあり、子どもに「どうしていつもいないの?」と聞かれた夜は胸が痛みました。
安定した給与や社会的信用は大きな魅力でしたが、それ以上に失っているものがある──そう気づいたのです。
私が40代で転職を選んだ理由
転職を決意した背景には、いくつかの理由がありました。
- 年収が大きく下がる現実
自衛官を定年まで勤め上げても、退職後の再就職では収入が大きく下がるのが一般的です。
現役時代の生活水準を維持するのは難しい。だからこそ「早めに動く」ことが重要だと考えました。 - モチベーション維持の難しさ
20年以上勤務し、誇りややりがいは確かにありました。
しかし同じ環境にこの先も留まることを想像すると、「最後まで情熱を保てるのか」という不安も大きかったのです。 - 40代だからこそ、もう一度キャリアを積める
定年を迎えてからの転職では、新しい職場で経験を積む時間は限られます。
でも40代の今なら、再び20年以上のキャリアを築ける。
そう考えたとき「まだ間に合う」と思い、挑戦する決意を固めました。
こうした理由を家族に正直に伝え、何度も話し合った結果、「挑戦を応援する」という言葉をもらい、私は定年を待たずに転職を選びました。
民間で見つけた新しい使命
転職先で出会ったのが「GWOインストラクター」という仕事です。
風力発電の現場で安全教育を行い、人々の命を守る──。
それは「国家を守る」という自衛官時代の使命感と、確かにつながっていました。
最初はカルチャーショックもありました。
民間の現場は上下関係がフラットで「自分で考えて動け」が基本。
しかし自衛官時代に培った「小さな習慣の徹底」や「率先して動く姿勢」が信頼につながり、次第に職場で欠かせない存在になりました。
自衛官が定年後を考えるときのポイント
- 在職中から資格を取る(運転・電気・IT・防災など)
- 家族と早めに話し合う(収入減に備える)
- 「自衛官経験=武器になる」ことを忘れない
まとめ|定年はゴールではなく新しいスタート
- 自衛官の定年は50代前半〜半ば。若年定年制が特徴
- 定年延長や再任用制度で活躍の場は広がっている
- ただし定年後は年収が下がり、モチベーション維持も難しい
- 40代ならまだ「20年以上の再キャリア」を積むチャンスがある
私自身、40代で転職し「国家を守る」から「人を守る」へ使命をつなげることができました。
定年は終わりではなく、新しいスタートラインです。
「このままでいいのか」と悩んだ瞬間から、次のキャリアを描き始めても遅くはありません。
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