はじめに|定年までいれば安泰?と感じながらも
「定年までいれば安定」——。 そんな言葉に支えられながらも、私は40代で自衛官を辞めました。
この記事では、定年を待たずに転職を決断した理由と、その後のリアルな再出発についてお話しします。同じように悩む現役自衛官の方へ、少しでもヒントになれば幸いです。
自衛官の定年年齢は何歳?制度と現実
自衛官の定年年齢は、階級ごとに法律で定められています。
現在(2025年時点)では、すでに段階的な引き上げが始まっており、以下が最新の情報です。
階級 | 定年年齢(現行) |
---|---|
2曹・3曹 | 55歳 |
曹長・1曹・准尉・1尉~3尉 | 56歳 |
3佐・2佐 | 57歳 |
1佐 | 58歳 |
将補・将 | 60歳 |
政府は2032年までに、定年をさらに最大2歳延長する方針です。
しかし現実として、「55歳での再スタート」は決して簡単ではありません。特に異業種・未経験の分野に飛び込むには、40代を超えると年齢の壁が明確に存在するのが実感でした。
なぜ私は「定年まで」を選ばなかったのか
ある日、ふと心によぎったのは、
「本当に“定年後”からの再スタートで間に合うのか?」
という不安でした。
民間企業では55歳はまだ現役かもしれませんが、未経験分野での挑戦となると、育成コストや吸収スピードなどで“年齢の壁”があるのも事実です。
だから私は、まだ体力も柔軟性もある「40代の今」、動くべきだと判断しました。
もう一つの理由は、「安定が安心とは限らない」と感じるようになったこと。
昇任のシステムや評価制度を見て、ある種の限界や閉塞感を覚えるようになりました。
頑張っても、そうでなくても、給与や立場に差が出にくい現場に、燃え尽き感を抱いたのが正直な気持ちでした。
「元自衛官」という肩書きのギャップと強み
自衛隊の経歴は、民間ではまだまだ誤解されがちです。
「厳しそう」「怖そう」「融通が利かなそう」
そんな印象を持たれることもあります。
でも実際には、
- 高い規律性と責任感
- 緊急時の対応力と判断力
- チームワークとリーダーシップ
こういった力は、あらゆる現場で通用する“実戦力”だと自負しています。
だからこそ私は、「自衛官だから」ではなく、「どこでも通用する人材」として見られたい。
その気持ちが転職への一歩を後押ししました。
40代での転職を決断するために必要だった準備
「辞める」ことは簡単ですが、「辞めた後どう生きるか」は別問題です。
私は以下のような準備をしてきました。
✅ 潜水士資格の取得
洋上風力など将来性を見据え、海中設備や風力メンテナンスに対応できるスキルを身につけました。
✅ 資産形成を数年前からスタート
投資や貯蓄をコツコツと進め、転職後の生活を安定させる“地盤”をつくりました。
✅ 閉鎖的な組織から外に目を向ける
ニュースや他業種との交流を通じて、「自衛隊以外の世界」を知ろうと努めました。
これらの準備が、“今動く”という決断を支えてくれたのです。
転職してよかったこと・苦労したこと【体験談】
✅ よかったこと:実力が正当に評価される環境
民間では成果がそのまま評価に反映されます。
GWOインストラクターとして現場に立つなかで、これまで培ってきた「教える力」や「安全管理意識」が高く評価されました。努力が認められる環境に、大きなやりがいを感じています。
⚠ 苦労したこと:人間関係の文化が違う
民間企業はフラットな関係性で進むことが多く、最初は戸惑いました。
20代の若手と対等に話す、冗談を言い合う。そうした「距離感の違い」に慣れるまで時間がかかりました。
⚠ 苦労したこと:報連相の温度感
自衛隊のような逐一報告文化ではなく、民間では「自分の裁量で動く」ことが求められる場面が多いです。報告のタイミングや内容の“ちょうど良さ”を掴むのに苦労しました。
補足:家族との時間について
私には妻と三人の子どもがいます。
- 長男:22歳(大学4年生・同居)
- 次男:21歳(大学3年生・同居)
- 長女:19歳(社会人1年目・別居)
自衛官時代は家を留守にすることも多かったですが、その分休日はしっかり取れていたため、家族全員で子どもたちの野球活動に関わり、濃密な時間を過ごしてきました。
退職後は出張が多くなり、平日に家族と過ごす時間は減ったかもしれません。しかし、これまで野球を通して培った強い絆があり、今でも家族全員でよく連絡を取り合っています。
つまり「家族との時間が減った」というよりも、「これまで築いてきた時間が今を支えてくれている」と実感しています。
まとめ|“定年前”に考えてよかったセカンドキャリア
- 自衛官の定年は早く、民間での再スタートには準備が必要
- 自分に向き合い、情報を集め、動き出す“タイミング”が重要
- 「もっと早く動いていればよかった」と思った瞬間が、本当の転機だった。
今、このページを読んでいるあなたも、きっと何かを感じているはずです。
私は心から願っています。あなたが後悔のない選択をできることを。
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