自衛隊で長年勤務し、40代という年齢を迎えたとき、私はある疑問に向き合いました。

「このまま定年まで勤め上げていいのだろうか?」
安定した生活、慣れた職場、周囲の信頼──どれもかけがえのないものでした。
しかし、自衛官という職業には**「定年が早い」という現実**があります。
多くは55歳前後で退職となり、その後に再就職という“第二のキャリア”が始まります。
でも私は、そのタイミングを「定年後」ではなく「今」に決めました。
この記事では、私が転職を決断した背景と、その理由を包み隠さずお伝えします。
「定年後からでは遅いかもしれない」と感じた理由
自衛官の定年年齢は階級によって異なりますが、多くは55歳前後です。



「体力的にも気力的にも余力がある今だからこそ、動くべきだと思いました。」
民間企業では「55歳はまだ現役」と言われることがあります。
確かに、同じ業種で長年やってきた人にとっては、まだまだ戦力になる年齢です。
しかし、まったく違う業種・新しい世界に飛び込む場合、話は変わります。



「自衛隊という特殊な職種から異業種に“ゼロから入る”となると、55歳では遅いと正直思います。」
- 若い世代の多い現場では、年齢だけで敬遠されることもある
- 企業としても、「これから育てる」という視点を持ちづらい
- 結果的に、選択肢がかなり限られてしまう可能性がある
適応力・吸収力・体力が残っているうちに動くべきだ。
そう感じた私は、「まだ早い」とは思わず、むしろ「今しかない」と強く思ったのです。
安定を手放す不安、それでも踏み出せた理由
安定=安心ではない。
そう感じたのは、自衛隊の中にいた頃からでした。



「年功序列で昇任していく仕組みを見て、どこか燃え尽きるような感覚がありました。」
昇任には教育隊での成績や人事配置が影響するとはいえ、ある程度の年数を経てば階級が上がるという仕組みは確かにあります。
制度としては成立していますが、私はその中にいることで、実態とのズレを強く感じていました。
- 誰よりも働いている人も、何もしていない人も、同じ給料
- できる人にばかり仕事が集中し、休みが取れないこともある
- それでも年齢だけで昇任していく人がいて、責任は負えないまま階級だけが上がる



「率直に言えば、“能力がない人”まで昇任していくことに、違和感がありました。」
実力があってもなくても、同じように評価される。
それが“公務員らしさ”かもしれませんが、私はどうしても納得できなかったんです。



「だからこそ、努力や実力が正当に評価される場所で働きたい」
そう思うようになったのが、転職を真剣に考え始めたきっかけでした。
自衛官という肩書きが“足かせ”にならないために
元自衛官という肩書きは、強みにもなれば、先入観の対象にもなり得ます。



「“体育会系っぽい”“怖そう”と見られることもあります。でも、それだけじゃないんです。」
- 自衛隊で培った規律性、判断力、責任感、体力
- 緊急時の対応力、協調性、リーダーシップ
これらはどれも民間で活かせる大きな武器です。
しかし、実際のところ「外に出てみないと、自分の価値には気づけない」とも感じました。



「だから私は、“自衛官だから”ではなく、“どこでも通用する人材”を目指して転職を決断しました。」
定年は「終わり」じゃない。でも、その後に戸惑う人も多い
定年退官というのは、本当に立派なことです。
最後まで任務を全うし、制服を脱ぐ姿には敬意しかありません。
ただ私は、これまで多くの退官者を見てきて、感じたことがありました。
- 年齢的に流れのまま定年を迎えた方
- 退官後に再就職したが、若い上司との関係に戸惑い、すぐ辞めてしまった方
- キャリアの終盤を“受け身”で過ごしてしまった方



「もちろん否定するつもりはありません。むしろ最後まで全うされた方には、尊敬の気持ちしかありません。」
でも、この記事を読んでくださっている方の中には、
「その姿に少し自分を重ねてしまった」方もいらっしゃるのではないでしょうか。
一方で、しっかりと資産形成や人生設計ができている方なら、私は今の生活を続けるべきだとも思います。
でも私は、もう一度挑戦したい気持ちがあった。今しかないと思ったんです。
今だからこそできた準備と決断
年金受給までの20年を、どう働いていくのか。
それを考えたとき、「今」が動くタイミングだと実感しました。



「急に辞めるのではなく、前もって“準備する”ことが本当に大事です。」
私の場合は、次のような備えをしてから転職に踏み切りました:
- 潜水士の資格を取得
洋上風力が拡大する未来を見据え、風車だけでなく海中の設備メンテナンスにも関われるように。 - 数年前から資産形成に着手
投資や貯蓄を地道に続け、動けるだけの“地盤”を整えました。 - 閉鎖的な組織の外に目を向ける
自衛隊という枠にとらわれず、世の中の変化やニーズに触れるよう意識しました。



「“外の世界を見る目”を持てたことが、自分の背中を押してくれたと思います。」
最後に|“その時”は意外とすぐに来る
自衛隊にいれば、「定年なんてまだまだ先だ」と思うものです。
でも、気がつけばその日はすぐ目の前に迫ってきます。



「“まだ早い”と思っていた自分が、“もっと早く動けばよかった”と思うようになりました。」
- 動けるうちに動く
- 頭が柔らかいうちに挑戦する
- そして、準備を怠らない
定年後からではなく、
“今”からの準備が、あなたの未来を大きく変えます。
まとめ
セカンドキャリアは、“定年後に考えるもの”ではありません。
人生の後半戦をどう生きるか。
それを考えるなら、“今”がきっとその始まりです。



「この記事を読んでくださった皆さんが、それぞれの選択に確信を持てるよう、心から願っています。」