「40代で転職はもう遅いのでは?」
そう思っていました。住宅ローンは残り、大学生の息子2人と高校生の娘の教育費もこれから。
どう考えても「今じゃない」。
でも――現実を直視し、家族と向き合ったときに気づいたのは、“今しかない”という選択肢でした。
この記事では、
- 自衛官の定年や再雇用の収入の現実
- 40代で転職を決断した背景
- 家族とどう向き合ったか
- 転職後に得られたやりがい
を、僕自身の体験をもとにまとめます。40代で転職に迷っている方の参考になれば幸いです。
40代の転職は遅い?「今じゃない」と思い込んでいた毎日
「辞めたらどうやって生活していく?家族を守れるのか?」
40代前半。
住宅ローンも車のローンも残っている。
長男と次男は大学生。娘は高校3年生。まだ進学か就職か、進路も定まっていない。
どう考えても、安定した職を手放すにはリスクが大きすぎた。
自衛官という公務員の立場。生活は安定していたし、家族にも不自由させずに済んでいた。
でも、その裏ではずっと葛藤していた。
自衛官の定年年齢は一般公務員より早い
自衛官の定年年齢は、階級によって異なりますが、一般的な国家公務員よりも早いのが特徴です。
階級 | 定年年齢 |
---|---|
将・将補 | 60歳 |
1佐 | 58歳 |
2佐・3佐 | 57歳 |
1尉・2尉・3尉 | 56歳 |
准尉・曹長・1曹 | 56歳 |
2曹・3曹 | 55歳 |
※2024年10月からの定年年齢引き上げ後の情報です。
このように、多くの自衛官が50代半ばで定年を迎えます。定年後に再就職は可能ですが、収入は現役時代より大幅に減少するケースが多く、体力的・精神的負担も小さくありません。
定年後の再雇用|年収の減少と職種の現実
定年後の再雇用では、給与が現役時代の約70~80%に減少するのが一般的です。
例えば、55~59歳の平均年収が約529万円だった場合、60~64歳では約423万円、65~69歳では約338万円に減少します。(参考:定年延長ドットコム、東京白然調査)
再雇用後の職種としては以下のようなものがあります。
- 警備員・清掃員:体力が必要で、未経験者でも始めやすい
- 軽作業・倉庫作業:単純作業中心でシニア層に人気
- ICT支援員:教育現場などで需要があり、PCスキルを活かせる
- 家事代行・ベビーシッター:家庭経験を活かせる職種で、特に女性に人気。近年は男性スタッフの需要も徐々に高まっています。
給与水準や仕事内容が現役時代と大きく異なるため、生活の見直しや新しいスキル習得が求められます。
40代で転職を決意した理由|「今しかない」と思えた瞬間
「このままで後悔しないか?」
「10年後、“あの時動いていれば”と思わないか?」
自分はもう40代。
でも40代前半の今なら、新しいことに挑戦できる体力も時間もまだある。
これを逃したら、もう二度とチャンスは来ないかもしれない。
生涯年収や定年後の収入を計算した結果、今動いた方が将来の生活の質が上がると判断した。
妻の言葉で「迷い」が「覚悟」に変わった
「きっと、やらなくても後悔するし、やっても後悔するよ。でもね、やって後悔した方が、きっと納得できるよ。」
この言葉を聞いたとき、心が震えた。
最も現実を理解している妻が、僕の選択を尊重してくれていた。
「辞めたい」という気持ちではなく、「自分の力を試したい」「後悔したくない」という想い。
その本音を、家族が受け止めてくれた瞬間に、迷いは“覚悟”に変わった。
無謀ではない転職|僕が準備したこと
「準備がなければ、ただの無謀だったと思う。」
僕は感情だけで辞めたわけではなかった。
不安を減らし、現実的に生きていける道筋をつくるために、時間をかけて準備をした。
① 資産運用を学び、生活費の不安を減らした
定年後の年金や退職金に頼るだけでは将来が厳しいと感じ、在職中から投資信託・NISAを活用。
まずは「小さく始めて慣れる」ことを意識し、給与天引きで毎月2~3万円を積立。
リスクを取りすぎず、長期で資産が増える仕組みを整えたことで「もし収入が下がっても生活できる」という安心感につながった。
② 貯蓄を確保し、有事に備える仕組みをつくった
「収入が一時的に減っても半年間は家計が回る」ように、生活費6か月分の緊急資金を普通預金で確保。
さらに、教育費・住宅ローン返済用の口座を別に管理。
この「口座を分ける仕組み」を作っただけで、お金に対する不安が大きく減った。
③ 自分のスキルや強みを棚卸しした
自衛官として得た経験を「民間でどう活かせるか」を真剣に考えた。
- 教官経験 → 教える力・研修スキル
- レンジャーや格闘指導 → 安全管理・現場での判断力
- 教育隊でのマネジメント → チーム運営力
さらに、退職前から潜水士資格を取得。
「資格=安心材料」になり、転職後の安全教育インストラクターという新しいキャリアにつながった。
④ 副業や再就職の可能性も同時に模索した
「収入の柱はひとつでは危うい」と感じ、在職中から小さな副業にも挑戦。
ブログ運営で情報発信を始め、資格講習をサポートする仕事にも触れた。
これが「民間でやっていける」という自信になり、退職後の転職活動でも強みになった。
⑤ 未来のシミュレーションを繰り返した
「定年まで勤め上げた場合」と「40代で転職した場合」を何度も比較。
収入の減少、家族の教育費、老後の生活費を数字に落とし込んだ。
結果として、**“今動いた方が長期的に生活の質は高くなる”**と判断できた。
今のまま定年まで働き続ける未来と、今決断して新たな道に踏み出す未来を比べたとき、
感情ではなく、自分なりの「勝算」を持って動いたと胸を張って言える。
40代で転職に迷うあなたへ
もしあなたが同じ40代で転職に悩んでいるなら――
家庭や状況は違っても、きっと同じように「このままでいいのか」と考えているはずです。
- 奥さんが専業主婦の家庭
- 子どもがまだ小さい家庭
- 両親の介護が始まりそうな家庭
- すでに教育費のピークを越えた家庭
状況は人それぞれ、リスクの重みも違う。
でも共通しているのは、未来をどう選ぶかという問いを抱えていること。
転職後に見えた新しい可能性
「こういう働き方もあったんだ。」
「自衛官の経験が、ここで活きている。」
転職してみて実感したのは、自衛官としての経験は決して無駄じゃなかったということ。
- 教える力
- 現場での判断力
- 規律を守る意識
- チームで動く力
今、僕は民間企業で安全教育に関わっている。
毎日が新しい発見の連続で、自分の経験が誰かの役に立っている。
自衛官時代にはなかったやりがいも、ここにはある。
まとめ|40代転職は無謀ではなく「計算と覚悟の選択」
「40代の転職は無謀」――僕もそう思っていた。
でも、「今しかない」と思えた瞬間に、人生は動き始めた。
- 家族との対話
- 将来設計
- 準備と実行
- 支えてくれる言葉
そしてなにより、やって後悔した方が納得できるという、あの一言。
「怖いのは、失敗じゃない。後悔だ。」
もしあなたが40代で転職に迷っているなら、
まずは「自分にとっての今しかない瞬間」を探すことから始めてください。
きっと未来を変えるきっかけになります。