住宅ローン、大学生の息子たち、高校生の娘の進路――
どう考えても「今じゃない」。
でも、“今しかない”という声が心の中に響いた日があった。
安定を手放す怖さ、それでも一歩踏み出せた理由。
それは、現実と向き合いながらも背中を押してくれた家族の言葉だった。
「今じゃない」――そう思い込んでいた毎日

「辞めたらどうやって生活していく?家族を守れるのか?」
40代前半。
住宅ローンも車のローンも残っている。
長男と次男は大学生。娘は高校3年生。まだ進学か就職か、進路も定まっていない。
どう考えても、安定した職を手放すにはリスクが大きすぎた。
自衛官という公務員の立場。生活は安定していたし、家族にも不自由させずに済んでいた。
でも、その裏ではずっと葛藤していた。
自衛官の定年は早い――その現実
自衛官の定年年齢は、階級によって異なりますが、一般的な国家公務員よりも早いのが特徴です。
階級 | 定年年齢 |
---|---|
将・将補 | 60歳 |
1佐 | 58歳 |
2佐・3佐 | 57歳 |
1尉・2尉・3尉 | 56歳 |
准尉・曹長・1曹 | 56歳 |
2曹・3曹 | 55歳 |
※2024年10月からの定年年齢引き上げ後の情報です。
このように、多くの自衛官が50代半ばで定年を迎えます。定年後の再就職は可能ですが、現役時代と比べて収入が大幅に減少するケースも少なくありません。また、再就職先でのキャリア構築も一からのスタートとなり、体力的・精神的な負担も大きくなります。
再雇用の現実――年収と職種の変化
定年後の再雇用では、給与が現役時代の約70~80%に減少することが一般的です。例えば、55~59歳の平均年収が約529万円だった場合、60~64歳では約423万円、65~69歳では約338万円に減少します。 teinen-encho.com+1tokyohakuzen.co.jp+1
また、再雇用後の職種としては、以下のようなものが挙げられます。
- 警備員・清掃員:体力が必要な仕事であり、未経験者でも始めやすい職種です。
- 軽作業・倉庫作業:単純作業が中心で、シニア層にも人気があります。
- ICT支援員:パソコンスキルを活かせる職種で、教育現場などで需要があります。
- 家事代行・ベビーシッター:家庭での経験を活かせる職種で、女性に人気があります。
これらの職種は、再雇用後の選択肢として一般的ですが、給与水準や仕事内容が現役時代と大きく異なるため、生活スタイルの見直しや新たなスキルの習得が求められることもあります。
“今しかない”という気づき



「このままで後悔しないか? 」
「10年後、“あの時動いていれば”と思わないか?」
自分はもう40代。
でも、40代前半の今なら――新しいことに挑戦できるだけの体力も時間も、まだある。
これを逃したら、もう二度とチャンスは来ないかもしれない。
生涯年収や定年後の再雇用なども冷静に計算した結果、今動いた方が将来の生活の質が上がると判断した。



「今じゃない」じゃなく、「今しかない」んじゃないか?
そう考え始めたことで、心の中で何かが変わり始めた。
妻の言葉が覚悟に変わった



「きっと、やらなくても後悔するし、やっても後悔するよ。でもね、やって後悔した方が、きっと納得できるよ。」
この言葉を聞いたとき、心が震えた。
最も現実を理解している妻が、僕の選択を尊重しようとしてくれていた。
「辞めたい」という気持ちではなく、「自分の力を試したい」「後悔したくない」という想い。
その本音を、家族が受け止めてくれた。
その瞬間に、迷いが“覚悟”へと変わった。
やみくもじゃない。準備と戦略があった



「準備がなければ、ただの無謀だったと思う。」
僕は感情だけで辞めたわけではなかった。
・資産運用を学び、生活費の不安を減らした
・貯蓄を確保し、有事に備える仕組みをつくった
・自分のスキルや強みを見つめ直した
・副業や再就職の道も同時に模索していた
今のまま定年まで働き続ける未来と、今決断して新たな道に踏み出す未来を比較し、
自分なりの「勝算」を持って動いた。
同じ40代のあなたへ
たとえば、この記事を読んでくれているあなたが同じ40代だとして――
それぞれの家庭に、それぞれの事情があると思う。
・奥さんが専業主婦の家庭
・子どもがまだ小さい家庭
・両親の介護が始まりそうな家庭
・すでに教育費のピークを越えた家庭
状況は人それぞれ。リスクの重みも違う。
でも、ひとつだけ共通していることがあるとすれば――



「本当にこのままでいいのか?」という問いを抱えていることじゃないだろうか。
転職後に見えた新しい可能性



「こういう働き方もあったんだ。」
「自衛官の経験が、ここで活きている。」
転職してみて実感したのは、自衛官としての経験は決して無駄じゃなかったということ。
- 教える力
- 現場での判断力
- 規律を守る意識
- チームで動く力
今、僕は民間企業で安全教育に関わっている。
毎日が新しい発見の連続だ。
そして、自分の経験が確かに誰かの役に立っている。
自衛官時代にはなかったやりがいも、ここにはある。
まとめ|「今しかない」は逃げではなく、計算と信念の選択
「今じゃない」とずっと思っていた。
だけど、「今しかない」と思えた瞬間に、僕の人生は動き始めた。
- 家族との対話
- 将来の設計
- 準備と実行
- 支えてくれる言葉
そしてなにより、やって後悔した方が納得できるという、あの一言。



「怖いのは、失敗じゃない。後悔だ。」
今、転職を考えている40代の誰かがこの記事を読んで、
「自分にもできるかもしれない」と思ってくれたなら、これ以上の喜びはありません。