20年間勤めた自衛隊を離れ、40代で民間企業へ転職してから1年。
「収入」「仕事」「家族(プライベート)」「福利厚生」──大きく環境が変わった中で、私が実感したのは**“新しいバランス”**でした。
公務員としての安定を手放す不安はありましたが、その一歩の先には、可能性と挑戦のフィールドが広がっていました。
この記事では、元自衛官の私が体験した40代転職のリアルを、データと実体験を交えてお伝えします。
収入の変化──安定から「可能性」へ
自衛官時代は、地域手当や扶養手当などが充実しており、「手当込みで手取りが厚い」という安心感がありました。
現在の会社はそうした手当は少ないですが、基本給が高いため月の手取りはむしろ増えました。
ただしボーナスについては、公務員時代の「年2回・安定支給」には劣ります。
住宅ローンや車のローンを抱える身としては、やはり賞与の不安定さは大きな違いです。
そのため今は、ボーナスをあてにせず、計画的に貯める習慣が自然と身につきました。
さらに副業が可能になったのも大きな違いです。
- ファイナンシャルプランナー(FP):社会のお金の仕組みを理解するため
- 第二種電気工事士:生活に直結し「手に職」を持てるため
公務員時代には「副業禁止」で学んでも活かせなかった資格が、今は働き方や収入に直結する。
収入は“もらうもの”から“自分で生み出すもの”へ。
この変化は人生の可能性を大きく広げてくれました。
仕事の変化──使命のかたちが変わった
自衛官時代は、訓練や災害派遣、格闘指導など「命を守る最前線」に立っていました。
現在は、風力発電業界の安全教育インストラクターとして、GWO(Global Wind Organisation)認定研修を担当しています。
- BST(Basic Safety Training):現場での安全知識を伝える研修
- ART(Advanced Rescue Training):救助訓練のサポート
特に印象的なのは、海外の受講生が多いこと。
言葉や文化の壁で意思疎通に苦労する場面もありますが、自衛隊で教育隊の教官を務め、100人規模の前で指導してきた経験が大きく役立っています。
「人に伝える力」は、現場が変わっても通用する。
“命を守る”という使命は変わらず、形だけが変化したのだと実感しています。
プライベートの変化──“量”より“質”を大切に
自衛官時代は土日が安定して休め、子どもたちと野球のグラウンドで過ごすのが日常でした。
転職後は出張が増え、家族と過ごす時間は減少。最初は寂しさや罪悪感もありました。
そこで導入したのが、家族のグループチャット。
日々の出来事を共有することで、離れていても心の距離は近くなりました。
また、家に帰れる週末は意識的に家族サービスを心がけています。
不在が増えた分、長男・次男が母親を支えるようになり、家庭の中に良い循環も生まれました。
娘は県外で一人暮らしをしていますが、チャットでつながることで寂しさを感じにくくなっています。
忙しい今だからこそ、“一緒にいる時間の質を高める”ことの大切さを学びました。
データで見る:自衛隊の福利厚生の厚さ
自衛官時代の「手取り感」は、基本給+各種手当+現物給与という“総合パッケージ”で成り立っていました。
たとえばこんな違いがあります👇
項目 | 自衛官(公務員) | 民間企業(現職) |
---|---|---|
基本給 | やや低いが手当で補強 | 高めで安定 |
地域手当 | 最大20%支給 | なし |
扶養手当 | 配偶者・子に手厚く支給 | あり(ただし金額は少なめ) |
通勤手当 | 上限15万円 | 上限あり(少額) |
住居手当 | 最大28,000円 | なし〜少額 |
ボーナス | 年2回・4.6か月分 | 業績次第で変動 |
現物給与 | 食事・制服・医療あり | なし |
こうして比べると、公務員は「手当と福利厚生で生活基盤を強固にする仕組み」、一方で民間は**「基本給の高さと成果主義」**が軸になっていることが分かります。
私自身は、手厚い保障がなくなった分、ボーナスに頼らず毎月で計画的に貯める、資格を取って収入の柱を増やすといった「自分で整える意識」が強まりました。
これこそが、転職を通じて実感した “新しいバランス” です。
転職を通じて得た「自分の人生を選ぶ」実感
40代での転職は「安定を捨てる」選択でもあります。
私も不安は大きかったですが、今は “自分で選んだ人生を歩んでいる” という実感があります。
- 収入は「安定」から「可能性」へ
- 仕事は「命を張る現場」から「命を守る教育」へ
- プライベートは「時間の多さ」から「時間の質」へ
- 福利厚生は「公的な厚み」から「自分で整える自由」へ
人生100年時代、体と頭が柔軟なうちに新しい挑戦をする価値は大きい。
そして、家族の支えがあってこそ挑戦は成り立ちます。
挑戦と支えのバランスをどう整えるか──それがこれからの生き方の軸だと実感しています。
まとめ:変化を恐れず、自分の未来を整えていく
転職は、不安やリスクもあります。
ですが、その先には 新しい可能性 と 人生を自分で選ぶ実感 が待っています。
「もし自衛官を定年まで続けていたら、挑戦する気力は失われていたかもしれない。」
そう思うと、勇気を出して踏み出した一歩は間違っていませんでした。
人生はいつからでも変えられます。
大切なのは、変化を恐れず、自分で整えていくこと。
これからも、自分らしい未来を歩んでいきたいと思います。
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