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自衛官の経験は通用するのか?民間の安全教育現場で確信した“伝える力”

21年間、自衛隊という組織の中で私は「当たり前」のように命に向き合ってきました。
各種火器射撃訓練、緊急事態を想定した厳しい訓練の数々は、常に一つの判断ミスが命取りになり得る現場であり、そこで身につけた「安全を守る力」は私の中に深く刻まれています。

2024年、私はその「当たり前」から一歩踏み出しました。
長年続けてきた安定した生活、積み上げてきたキャリア、そして“自衛官”という肩書きを手放し、民間という未知のフィールドに飛び込んだのです。

外から見れば、自衛隊と民間企業の間には大きな壁があるように見えるかもしれません。
実際、私も「自衛官としての経験が、本当に役に立つのか?」という不安を抱えながらの転職でした。

しかし今、安全教育インストラクターとして企業研修に携わる中で、確信を持って言えることがあります。
自衛隊で培ったスキルや経験は、民間でも確実に、そして想像以上に通用する。

それは単なる精神論や根性論ではありません。
現場で必要とされるのは、状況を的確に判断し、命を守るための行動を選び取る力。
そしてそれを、**他者に「伝え、動かし、守らせる力」**です。

この文章では、私が自衛官から民間インストラクターへと歩んだリアルな道のりと、
その過程で見えてきた“自衛官だからこそ持ち得る力”について、余すところなくお伝えしていきます。


ちゃびん

「自衛隊での経験なんて、民間では通用しないのでは…?」

そう不安に思っていた自分が、今では安全教育の現場で「その経験がまさに求められていた」と実感しています。


目次

揺るぎない“安全意識”は命を守るためにある

自衛隊での日常は、決して平穏ではありません。
訓練も任務も、常に“万が一”を想定した厳しさが求められます。

私が経験した「レンジャー課程」では、極限状態の中で任務を遂行する力を鍛えられました。
また、「部隊格闘」の指導官として、隊員に危険回避・自己防衛のスキルを指導してきた経験もあります。

そこでは、以下のような要素が徹底的に身につきました。

  • 安全を最優先に考える思考
  • 小さな異変を見逃さない観察力
  • 予測し、先手を打つ行動力
  • 想定外に対応できる柔軟性

たとえば、小銃射撃訓練や各種火器射撃訓練では、ちょっとした判断ミスが命取りになります。
「当たり前の安全」が、当たり前でなくなる瞬間が日常的に存在していたのです。


民間の安全教育現場で見えた“リアル”

民間企業に転職してから最初に驚いたのは、安全教育が「ビジネス」になっているという事実でした。\

ちゃびん

「え、安全教育って“売り物”になるの?」

正直、最初は驚きました。
自衛隊では安全教育は当然の義務。
「やって当然」「従って当然」という考えが根づいていました。

しかし民間では、企業が年間予算を組んで、外部機関に研修を委託しています。
それは、安全が「利益や信頼性に直結するもの」だからです。

とくに私が現在関わっている**風力発電所向けの安全トレーニング(GWO BST・ART)**では、事故のリスクが高い現場ゆえに、徹底した教育と訓練が求められます。


“伝える力”は、自衛官時代に培われていた

民間の安全教育で大切なのは、単にルールを教えることではありません。

  • なぜその行動が危険なのか?
  • そのリスクはどうすれば減らせるのか?
  • その対策を実施する意義は何か?

これらを、相手の目線に立って、わかりやすく伝える力が不可欠です。

私は自衛隊で、若手隊員の教育や部隊の指導を任された経験があります。
そのときに自然と身についた「相手に理解させ、行動させる技術」が、今まさに活きているのです。

たとえば——

ちゃびん

「この動作、危ないですよ。」
「この動作を続けていたら、どんな事故につながるか想像できますか?」

そんな風に問いかけ、相手自身が気づき、納得できるように導くのが私のスタイルです。


自衛官の経験が“そのまま活きる”民間の現場力

自衛隊で培われたスキルの中には、民間でも評価されるものが多数あります。

自衛官でのスキル民間での価値ある活用場面
時間・ルールの厳守緊急時の対応、作業手順の遵守
極限下での冷静な判断力リスクアセスメント、現場判断
強固なチームワーク協働作業、安全文化の形成
柔軟で迅速な対応力突発的なトラブル対処
高い責任感と安全への意識他者の命を守るための指導力

特に「責任感」は、私が現場で最も重視している資質です。

自衛隊では、自分の行動が仲間の生死に直結します。
その重みを知っているからこそ、現場で働く方々に「安全意識の持ち方」を本気で伝えられるのだと感じています。


誰かの“命を守る”仕事

現在私は、GWOの安全インストラクターとして、BST(Basic Safety Training)の4科目(マニュアルハンドリング・ファーストエイド・ファイヤーアウェアネス・ワークアットハイト)を担当し、ART(Advanced Rescue Training)はアシスタントとして研修を受けている最中です。

派手な仕事ではありません。
でも、事故が起きないように現場の人たちの意識を高め、備えをつくる。
その先にあるのは——

ちゃびん

「誰かが無事に家に帰れること」
「家族の笑顔が守られること」

その意義は、自衛官時代に担っていた“任務”と、何ら変わらないものだと感じています。


自衛官の皆さんへ:その経験は、必ず求められます

最後に、今このページを読んでくれている元・現役の自衛官の方へ伝えたいことがあります。

ちゃびん

「民間で通用するか不安です」

そう思うのは当然です。
でも、あなたの中にある“自衛官としての当たり前”は、民間社会にとっては「貴重な強み」です。

  • 安全を軽視しない文化を根づかせる力
  • 手順を守りながら柔軟に動ける現場力
  • 「もしも」に備えて考えられる危機管理力

これらは、多くの企業が求めているけれど、まだ足りていない“本物のスキル”です。

転職活動は決して楽ではないでしょう。
けれど、あなたの経験は確かに必要とされています。

私もまだ道半ばです。
でもこの一歩が、人生を前に進めてくれると信じています。

ちゃびん

「その背中を押す一助になれば――」

私の体験が、そうなれたら本当に嬉しく思います。

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