
「転職はまだ考えていない。でも、なんとなく不安なんだよな。」
自衛官として任務に全力を尽くしてきた中で、こんな気持ちになったことはありませんか?
それは珍しいことでも、甘えでもありません。
20年以上自衛官として生きてきた私も、40代になってふと感じました。
「このままでいいのか?」「将来、後悔しないだろうか?」と。
この記事では、「今は転職を考えていないけれど、将来に漠然とした不安を抱えている」現役自衛官に向けて、
今だからこそ考えておきたい7つの視点を、情報重視でお伝えします。
【1】自衛官の定年は意外と早い──54歳でキャリア終了の現実も
自衛官の定年は、民間の60歳定年とは異なり、階級によって異なります。
たとえば、法改正後の定年年齢は以下のとおりです:
階級 | 定年年齢 |
---|---|
2曹・3曹 | 55歳 |
1曹・曹長・尉官類 | 56歳 |
3佐 | 57歳 |
2佐・1佐 | 58歳 |
将・将補 | 60歳 |
仮に3曹で54歳の定年を迎えたとすると、
その後の収入源は再任用制度か、民間再就職になります。
しかし、再任用では年収200〜300万円台に下がるケースもあり、ローンや教育費が続く家庭には厳しい数字です。



「“老後の入口”は意外と早く訪れる。だから今から考える価値があるんです。」
【2】“安定”の裏側にある、“選択肢の狭さ”
自衛官の仕事は安定しています。
給与体系も階級も明確で、福利厚生も整っている。
しかしその一方で、異動・転勤・制約の多い勤務形態により、
人生の大きな選択を自分でコントロールしづらい現実もあります。
「このまま定年までいれば安泰」
そう思っていたとしても、その“安泰”は、
働き方や暮らしの自由を犠牲にしたうえに成り立っていることを忘れてはいけません。



「“安定”と引き換えに、何を手放しているのか。それを意識するだけでも、視点が変わります。」
【3】キャリアの主導権を“今”取り戻す準備を
20代の頃は「与えられた任務を遂行する」のが当然でした。
しかし40代になるとこう思うことがあるはずです。
- 「今の働き方、この先も続けていけるのか?」
- 「異動や出張が重なると、家族との時間はどうなる?」
- 「年齢が上がっても、“実力”ではなく“年次”で評価される」ことへの違和感
キャリアの主導権を他人に預けたままでは、定年後に選べる未来が減っていきます。
だからこそ、「今のうちに考えておくこと」が重要なのです。



「主導権を取り戻す準備、それが“今”できることの価値です。」
【4】「調べるだけ」でも、未来は変わり始める
今すぐに辞める必要はありません。
でも、情報収集だけは始めておくべきです。
たとえば:
- 民間企業の働き方や収入の相場
- 転職経験者のブログや動画
- 資格・スキルの市場価値
- 再就職支援制度や訓練制度
私も、辞める前にこうした情報を少しずつ集め始めたことで、「備えれば怖くない」と実感できるようになりました。



「“調べる”という小さな行動が、未来を切り拓く第一歩になります。」
【5】家族と話しておくことで、“もしもの時”の判断が変わる
自衛隊員としての人生には、転勤・災害派遣・単身赴任など、
“家庭の犠牲”がついて回ります。
その現実を、奥さんや子どもたちはどう感じているでしょうか?
- 「今の働き方、正直どう思ってる?」
- 「もし転職することになったら、何が心配?」
- 「将来、どこで暮らしたい?」
こうした会話は、“悩んでいる今”だからこそできるものです。
いざというときに、家族が味方でいてくれる。
その安心感は何にも代えがたい支えになります。



「自分の未来を考えるなら、家族の未来も一緒に考えることが欠かせません。」
【6】40代は、心も体も動ける“最後のゴールデンタイム”
40代は、体力的にも精神的にも、まだ動ける年齢です。
- 新しい資格を取る
- 副業を始めてみる
- 起業の準備をする
- セカンドキャリアの情報を集める
何を始めるにも遅くはありません。
でも、始めるなら今が最後の“追い風”になるタイミングです。



「後悔しないために動ける最後の時間、それが40代です。」
【7】転職は“しなくてもいい”。でも“考えない”のはもったいない
自衛隊に残る選択も、もちろん立派な道です。
でも、それは**「考えた上で残る」ことでこそ意味がある**と思います。
何も考えず、なんとなくそのままでいた結果、
「もっと早く準備しておけばよかった」と思うのは、できれば避けたい未来です。



「自衛隊に残るとしても、“考えた上で選んだ道”にすれば、きっと納得できるはずです。」



「転職する・しないは最終的に自分で決めること。
でも、“考えること”を後回しにするのはもったいない。
“今のうちに考えておく”ことで、見える景色が変わります。」
✅次回予告:後編につづく
次回の後編では、
「じゃあ実際にどう備えるか?」をテーマに、
私が実際に行った保険の見直し・老後資金の試算・生活保障の設計をお届けします。