長年の自衛官生活を経て、民間企業に転職した今。家族と過ごす時間は確かに減ったけれど、絆は薄れていない——いや、むしろ“強くなった”と感じる瞬間があるのです。
離れていても、心はつながっている。
そんな「家族との新しい関わり方」を、今回は綴ってみたいと思います。
自衛官時代、家族との時間は“当たり前”だった
自衛隊で働いていた頃、私にとって家族と過ごす週末はごく自然な日常でした。
週末や祝日が比較的しっかり確保できていたこともあり、子どもたちの野球の試合には毎週のように足を運んでいました。
応援はもちろん、妻と一緒にサポートをしたり、他の保護者とも交流したり。家族ぐるみで、ひとつの目標に向かって頑張っていた時期です。

「家族で一緒に頑張る」という空気が、当たり前にあったんです。
約10年間、週末はグラウンドが生活の中心。
あの頃の絆の深まり方は、言葉では言い表せないほど特別なものでした。
家族のライフステージと共に、環境も変わった
ですが、子どもたちも成長し、それぞれの道へ進んでいます。
- 息子たちは大学生になり、野球を引退
- 娘は県外で社会人として独立
- そして私も、転職を経て民間企業へ
仕事環境は一変しました。出張が増え、家を空ける日が多くなり、家族との時間はどうしても減っていきました。



正直なところ、戸惑いや不安もありました。
「このまま家族との距離ができてしまうのではないか」
そんな思いが頭をよぎることもあったのです。
会えないなら、“工夫”でつながる
そこで私は、ある“工夫”を取り入れました。
それが、SNSのグループチャットです。
週に2〜3回ほど、こんなメッセージを送っています。
- 「今日は暑いから、体調気をつけてな」
- 「雨が降ってるから、足元注意してな」
- 「交通事故が多い時期だから、安全運転でな」
どれもたった一言ですが、気持ちを届けるには十分。
返信が返ってきて、そこから自然と会話が生まれることもあります。
このグループチャットが、今の私たち家族にとっての**“日常の接点”**になっています。
離れていても、夫婦の時間は大切に
また、出張から戻った週末には、妻と外食に行くことを習慣にしています。
そこで、
- その週に起きた出来事
- 子どもたちの近況
- 将来のこと
など、ゆっくり話す時間を設けるようにしています。



一緒に歩んできた妻と、改めて「向き合う時間」を大切にしたいと思うようになりました。
日々の喧騒から離れて、ふたりで語り合う時間。
これは今の私にとって、何よりのリセットであり支えです。
自衛官と民間企業、働き方のギャップ
自衛官時代は、規則正しく、時間に余裕のある働き方でした。
家族と過ごす時間が「前提」にあったのです。
しかし民間では、現場や案件によってスケジュールが大きく変わり、曜日感覚すら曖昧になる日もあります。
土日が仕事になることも珍しくなく、家族と予定を合わせるのが難しくなりました。
それでも——
家族の絆は、“気持ち”で育て続けるもの
私が実感しているのは、
「絆は、一緒にいる時間の長さでは決まらない」ということです。



どれだけ“気持ちを寄せ続けられるか”、それが絆を育てる本質だと思います。
転職によって、家族との距離が変わってしまうこともある。
けれど、工夫しながら意識を持ち続ければ、絆はむしろ強くなるのではないか——そう思うようになりました。
「変わること」は、悪いことじゃない
子どもたちは大人になり、それぞれの人生を歩んでいます。
家族の関係も、“以前と同じ形”ではなくなってきました。
でもそれは、悲しいことではありません。
新しい形のつながり方に、成長した今だからこそ気づけたのです。
これからも、家族と共に“育て続ける絆”を大切にしていきたい。
そして、変化を前向きに受け止め、家族の未来を一緒に創っていきたいと思います。
最後に:つながりは、工夫次第で続いていく
もし今、転職やライフスタイルの変化で、家族との時間が減ったと感じている方がいたら——
どうか諦めずに、「自分なりの方法」でつながりを育ててみてください。
たった一言のメッセージでも、気持ちはきっと届きます。
絆は、守るものではなく、育てていくもの。
この言葉を胸に、これからも家族との関係を大切にしていきたいと思います。