はじめに

「ちょっと疲れてるな、俺…。」
そんなふうに感じる日が、転職してから少しずつ増えてきました。
身体は問題ない。だけど、心の疲れは意外と気づきにくいものです。
自衛官時代も今も、やっている仕事は人の命に関わる安全教育。
気が抜けない日々のなかで、僕が少しだけ力を抜くためにしている“心の整え方”を、今回は正直に書いてみます。
無理にポジティブにならない
自衛隊時代、しんどくても「頑張れ」と言われ続けてきました。
気合いで乗り切る、弱音は吐かない、仲間の手前…そういう空気もありました。
でも民間に来て気づいたんです。
「つらい」と感じるのは悪いことじゃない。
それをちゃんと受け止めることが、次への一歩になるんだと。



「今日はちょっと疲れたな。」
そう思ったら、あえて前向きにならなくてもいい。
ただ、“気づく”だけで少し楽になることもあります。
無心で身体を追い込む


疲れた時ほど、僕はジムに行きます。
無心で筋トレに没頭する。
とにかく一心不乱に身体を動かす。
次第に頭の中が真っ白になっていく。



「よし、またやってやろう。」
汗をかいた後に感じる、この感覚がたまらなく好きです。
筋肉だけじゃない。気持ちまでリセットできる時間なんです。
ジムに通う習慣は、自衛官時代からずっと続けています。
職場の仲間に「よくそこまでやれますね」と言われることもありますが、僕にとっては“体力づくり”よりも、“心のケア”の意味合いの方が大きいかもしれません。
風と鳥の声に癒される“場所”


最近、職場でお気に入りの場所ができました。
それは、風がよく通り、鳥の声が聞こえる静かな場所です。
昼休みや少しだけ時間が空いたとき、
そこに立って目を閉じると、心がすーっと整っていきます。
瞑想というほど大げさではないけれど、
自然の音に包まれるだけで、気持ちが安らぐんです。
かつて自衛隊では、こうした“静かな時間”はほとんどありませんでした。
時間も空気も、常にピリッと張り詰めている環境。だからこそ、今のこの場所の存在が、より貴重に感じられます。
SNSは“つながる”ための言葉だけでいい
実は、しんどいことほど家族にはあまり言いません。
妻に心配かけたくないし、子どもたちにも言いづらい。
でも、完全に閉じてしまうわけでもない。



「今日はちょっと疲れたから、早めに寝るね。」
その一言をSNSのグループに投稿するだけで、
家族はちゃんと察してくれる。
深く話さなくても、**“気にしてくれてる”**という安心感がそこにある。
そんなやり取りが、今の僕にとって大切なつながりです。
以前の僕は、もっと自分の気持ちを閉じ込めていました。
部隊内では“個人的な感情”を出すことがマイナスとされる場面も多かったです。
でも今は、こうやって少しだけ気持ちを共有するだけで、ずいぶん楽になると知りました。
自分の“原点”を思い出す
ふと、自衛隊時代のことを思い出すことがあります。
レンジャー課程での厳しい訓練。
東日本大震災の派遣で経験した現場の重さ。
格闘指導官として、部隊をまとめるプレッシャー。
**あの頃の“やりがい”や“使命感”**が、今でも自分の中に残っています。
民間で働く今も、その原点があるからブレずにやっていける。
心が少し疲れたときは、自分がどんな道を歩んできたかを思い出してみるようにしています。
そして、週末のグラウンド。
家族みんなで応援した、子どもたちの試合の記憶。
あの時の笑顔や声援が、今でも僕の力になっています。
おわりに
転職してから、「まだまだ頑張らなきゃ」と自分に言い聞かせてきました。
でもあるとき、こうも思ったんです。



「頑張るって、休むことでもあるんだな。」
心を整えるのも、仕事のうち。
たまには立ち止まってもいい。大事なのは、また前を向けるかどうか。
今、ちょっと疲れてるなと思った人がいたら、
僕のこの“ささやかな習慣”がヒントになればうれしいです。