自衛隊で20年以上勤めてきた僕にとって、「安定」は当たり前のものでした。規則正しい生活、手厚い福利厚生、社会的信頼。外から見れば文句なしの職場かもしれません。
でも、あるときふと立ち止まって考えました。

「この安定は、いつまで続くんだろう?」
自衛官の定年は55〜57歳。民間と比べても圧倒的に早く、年金までの“空白期間”をどう埋めるかは現実的な課題です。
さらに、年齢とともに管理職へと立場が変わる中で、次第に感じるようになった“違和感”——
- 書類仕事ばかりで現場から遠ざかる日々
- 若手に任せることが増え、手応えが薄れる
- 「このまま10年以上、同じような日々を繰り返すのか?」という問い
これらが積み重なり、「そろそろ、自分の力を別の形で試してみたい」と思うようになりました。
家族と向き合った日々
転職を考え始めた当初から、妻には包み隠さず話していました。



「もし辞めたら、給料はどうなるの?」
「やっていけるの?年齢的にも難しくない?」
当然、不安はありました。でも僕の想いを聞いた妻は、最終的にこう言ってくれました。



「パパのこと、信じてるから。ちゃんと考えてるなら、大丈夫。」
そして子どもたちも、自然体で受け止めてくれました。



「まあ、パパだったら大丈夫なんじゃない?」
このやりとりが、僕の背中を大きく押してくれました。
転職までのリアルな6ヶ月スケジュール
時期 | やったこと |
---|---|
半年前 | 妻と本格的な話し合い/将来像の共有/自己分析 |
5か月前 | スキルの棚卸し/自衛官としてやり残したことの整理 |
4か月前 | 潜水士という選択肢が見えてくる/洋上風力の将来性を検討 |
3か月前 | 潜水士資格を取得(完全未経験から挑戦) |
2か月前 | 退職準備(書類、私物整理、関係部署との調整) |
1か月前 | 引継ぎ・有給消化 |
転職当月 | 新天地で入社/研修スタート/生活リズムの再設計 |
現在の仕事:GWOインストラクターと潜水士という道
現在、僕はGWO(Global Wind Organisation)認定の安全教育機関で、インストラクターとして働いています。
担当しているのは「BST(Basic Safety Training)」の4モジュール:
- 高所作業(Working at Heights)
- 応急処置(First Aid)
- 消火(Fire Awareness)
- 海上脱出(Sea Survival)
中でも高所作業では、屋内8メートルの訓練施設での実技を指導。さらに今は「ART(Advanced Rescue Training)」のアシスタントとしても研修中です。
そしてもう一つの挑戦が、「潜水士」としての学び。
週末は社内での訓練に参加し、現場で通用するスキルを積み上げています。 社長直々の指導を受ける機会もあり、学びの密度は非常に濃いです。
同じように悩む40代の声と、社会の現実


僕が転職を考えていた頃、同じような境遇の人たちと話す機会が何度もありました。



「転職したいけど、今さらじゃないかと思って動けないんです」
「再就職って、自衛隊の経験がちゃんと通じるのか不安で…」
そんな声をたくさん耳にしました。
でも実際に一歩を踏み出した人たちは、共通してこう言います。



「動いてみたら、案外やれることは多かった。」
「年齢より、考え方や姿勢を見てくれる職場に出会えた。」
また、厚生労働省のデータによれば、2024年時点で40代の転職者数は約30万人を超え、年々増加傾向にあります。
転職理由の上位には「やりがいを求めて」「将来の不安を感じて」が挙げられ、必ずしも「辞めさせられたから」ではなく、自発的な理由が目立っています。
「動く人が増えている」——これが、今のリアルです。
僕の転職に共通していた“軸”


振り返ってみると、僕の転職活動には一つの共通した軸がありました。
それは、
「命を守る現場に立ち続けたい」という想いです。
- 自衛隊では、任務の中で常に安全と隣り合わせだった
- 今は、受講者に“命を守るための教育”を伝えている
現場に立ち、実践し、伝える——。
これは僕にとって、ただの職業選択ではなく、「生き方」そのものなんだと感じています。
まとめ:40代からの転職に迷うあなたへ
「安定を捨てるのは無謀かもしれない」 「家族を守れるか不安だ」 「新しい世界に自分が通用するのか分からない」
——僕も、まったく同じ気持ちでした。
でも大事なのは、「どうせ無理」と決めつけることではなく、「どうすれば実現できるか」を考え抜くこと。
僕の答えは、「行動すること」でした。
✅ 自分の可能性を信じてみる ✅ 家族ととことん話し合う ✅ 不安は準備でカバーする
そして一歩踏み出せば、きっと何かが動き出します。
40代からの転職は、決して遅くありません。 むしろ「経験」「覚悟」「責任感」を武器にできる、絶好のタイミングです。
この記事が、あなたの“一歩目”のヒントになれば嬉しいです。