はじめに

「転職してよかったと思ってる。でも、正直“こんなはずじゃなかった”って瞬間もある──」
私は40代で自衛官を辞め、民間企業へ転職しました。自衛隊という安定した立場を捨てて飛び込んだこの世界は、刺激的で学びも多く、やりがいも大きいです。
でも、転職には“光”だけじゃなく“影”もある。今回は、私が実際に感じた「ちょっとした後悔」や「思っていたのと違った」ポイントを、正直にお話ししたいと思います。
後悔1:ボーナスが思ったより少なかった


転職後の給与は、正直そこまで悪くありませんでした。むしろ、自衛官時代より基本給は少しだけ上がって、毎月の収入は安定しています。
でも驚いたのが、ボーナスの額でした。
自衛隊時代は、ボーナスもしっかり支給されていて、「これでまとまった買い物ができるな」と思える安心感がありました。
一方、今の会社では──



「えっ、これだけ?」
というのが率直な感想でした。思っていたより、かなり控えめ。
ただ、入社してたった4ヶ月で支給されたこと自体はありがたく、良心的な会社だとも思っています。
年収全体で見ると、自衛官時代よりガクンと下がる形になりました。
この差を「後悔」と感じた瞬間は、正直あります。
後悔2:休みのギャップに戸惑った
自衛官は、実はかなり休みがしっかりしています。
- 土日休み
- 祝日休み
- 休日勤務には必ず代休がつく
- 年次休暇は年間30日+α(月2日加算で最大54日)



「正直、休もうと思えばいくらでも休めた」
それが自衛官時代の感覚でした。
でも、転職してからはまったく違います。
- 土曜勤務もある
- 祝日も出勤
- 代休制度はあっても、実際に取得しにくい
- 有給も“空気を読んで使う”ような雰囲気
最初は「休みが少ない…」とかなり戸惑いました。
とはいえ、今の会社にはありがたい点もあります。



「休みたい」と言えば、ちゃんと休ませてもらえるんです。
しかも理由も聞かれません。家族の行事や大事なことがあれば、上司も快く了承してくれます。
ただ、民間は“休めるけど休みにくい”。なぜなら──
自分が休む = 会社の利益に直接影響する
その意識があるからこそ、プレッシャーを感じることもあります。
それでも、「頑張れば給料やボーナスに返ってくる」というやりがいはあります。
後悔3:「結果がすべて」のプレッシャー
「民間は、結果がすべて──」
この感覚、最初はちょっとショックでした。
自衛隊でも成果は求められますが、そこには“組織として守り合う文化”がありました。
でも、民間は違います。
- 「できません」と言えば、他の誰かにすぐに回る
- チームでの助け合いはあっても、評価は個人単位
言葉にはされませんが、
「できないなら、他の人でいいから」
という空気が確かにあるんです。
だからこそ、結果を出すことに対するプレッシャーは大きい。
ただ一方で、それがやりがいにもつながっています。
成果 = 評価 = 報酬
この流れが明確だからこそ、「会社のために頑張ろう」と思える。責任と報酬がしっかり結びついている点では、民間の良さを感じています。
後悔4:安定を捨てた選択に、たまに思いを馳せる



「もし、あのまま自衛官を続けていたら…」
そんなふうに考えることが、たまにあります。
定年まで勤めて、退職金をもらって、年金をもらいながら、どこかで働いて──
最後はのんびり暮らしていく。
そんな未来も、きっとあったでしょう。
安定した生活、保障された老後。実際に、公的年金+共済年金で月額18万円前後の支給が見込まれるモデルもあります。
だから、「安定を捨てた」という点について、後悔がゼロかと言えば、嘘になります。
ここまで後悔ばかりを語ってきましたが──


実は、こうして振り返ってみると、これらの「後悔」はすべて、**自分が本当に大事にしたいものに気づくための“きっかけ”**だったと感じています。
たしかに、不安はありました。
たしかに、損をした部分もあります。
でも、その先に見えたのは「挑戦している自分の姿」でした。



「戻りたいと思ったことは、ないんです。」
むしろ、あのまま自衛官として残っていたら……
「もっとできたんじゃないか」「自分を試してみたかった」と、
きっと別の後悔を抱えていたと思います。
後悔は“悪”じゃない。
むしろ、“自分の軸”に気づかせてくれる大切なサインかもしれません。
最後に伝えたいこと
安定を選ぶことも正解。
挑戦を選ぶことも正解。
でも、「何も考えずに、ただ定年を迎えること」だけは、私はしたくありませんでした。
「“後悔しない選択”とは、『正しい答え』を選ぶことじゃない。『自分で選んだ答え』を信じられることだと思います。」
私はこれからも、挑戦し続けます。
もし、今の働き方に違和感を覚えている人がいたら、
もし、転職を考えているけど不安で動けない人がいたら──
この言葉を送りたいです。



「“こんなはずじゃなかった”その先に、本当の自分が見つかるかもしれません。」