長年勤めた自衛隊を離れ、民間企業に転職してから、人間関係に大きな違いを感じました。今回はその「距離感」に戸惑いながらも、自分なりのやり方で信頼を築いてきた過程についてお話しします。
自衛隊時代の人間関係──深く、濃密で、助け合いが前提
自衛隊という組織は、特殊な環境でありながらも「仲間」との結びつきが非常に強い世界でした。
24時間を共にする仲間たち。
訓練でも、任務でも、さらには生活面でも。寝食を共にしながら助け合い、信頼し合う中で、自然と生まれる“絆”がありました。
- 上下関係は厳格
- 指示系統は明確
- 命令通りに動くことで組織が回るという安心感
プライベートでも、同期や先輩後輩とよく行動を共にしていて、まるで「大家族」のような関係性が当たり前になっていました。
「まるで違う」民間の距離感に戸惑った
民間企業に転職して、最初に感じたのは“温度差”でした。

「誰もが礼儀正しく、でも壁があるような感覚でした。」
たとえば──
- 昼休みに雑談は少なめ
- 勤務終了後は即解散
- 飲み会などもあまりなく、あっても参加は自由
初めは「冷たいな」と感じるほど、自衛隊時代との落差がありました。
「このままで大丈夫なのか?」孤独を感じた時期
慣れない環境では、会話の糸口さえ見つけにくく、何を相談すべきかも迷いました。



「この職場で、自分は必要とされているのだろうか?」
そんな不安に押しつぶされそうになることもありました。
しかし、ただ悩んでいても状況は変わりません。
距離感は“悪”ではなかったと気づいた瞬間
ある日、自分の価値観を問い直してみました。



「自衛隊のような深いつながりが、果たして“正解”なんだろうか?」
そう考えていく中で、次のような視点に気づきました。
💡 民間企業では、「信頼=感情」ではなく「信頼=行動」であることが多い。
つまり、感情的なつながりよりも、“成果”や“信頼できる仕事ぶり”が評価の軸になるということです。
地道に積み重ねた信頼──行動で示す
私は考え方を切り替えました。
- 無理に馴れ合いを求めない
- 誠実に、正確に、仕事をする
- 挨拶・報告・連絡・相談を徹底する
たとえば、



「朝の清掃は誰よりも早く、自主的に行うようにしました。」
ちょっとした行動でも、それが周囲の信頼につながっていくと感じました。
- 現場の準備を誰よりも早く整える
- 難しい業務にも率先して取り組む
- 後輩には声をかけ、質問には丁寧に対応する
すると、徐々に空気が変わっていきました。
「一緒に仕事をしたい」と言ってもらえるようになったのです。
ドライな関係にも“信頼”と“温かさ”がある
民間の職場には、確かにドライさがあります。
でもそれは、「干渉しすぎない」という配慮の裏返しでもありました。
必要な距離を保ちつつ、必要なときに助け合える関係。
それが、民間企業の人間関係の“形”だったのです。
家族の存在が“軸”になってくれた
そして、私にとって最大の支えとなったのが「家族」でした。



「どんなに疲れていても、家族とのSNSグループチャットを読むと元気になれました。」
現在、出張の多い仕事ではありますが、週末には家族と過ごすようにしています。
- 娘との会話
- 妻との外食
- 子どもたちとの日常のやり取り
この何気ない時間が、私の気持ちを整えてくれます。



「自分の居場所はここにある。」
そう思えることが、どれだけ大きな力になっているか分かりません。
【まとめ】──変化に適応しながら、信頼される自分を貫く
転職は、環境だけでなく「人間関係の常識」までもが変わる経験です。
でも、その変化を拒まず、素直に受け入れることで道は開けます。
民間では、
- 深く付き合わなくても
- 感情を共有しなくても
「信頼」や「評価」は築ける。
私はそう実感しています。
そして何よりも──



「”自分らしさ”を手放さずに、誠実に向き合い続けることが、信頼につながっていくのだと思います。」
これからも変化を恐れず、自分のスタイルで、少しずつ前に進んでいきたいと思います。