「自衛官としての経験は、民間でも通用するのだろうか──」
これは、僕が40代で転職を決意したとき、最も強く感じた不安でした。
自衛隊では、任務を遂行することで“自然に評価される”環境がありました。
一方、転職して飛び込んだ民間企業の世界では、
「やるべきことをやっただけ」では評価されないことに、戸惑いを覚えたのです。
でも、試行錯誤の末にたどり着いたのは、
「評価は待つものではなく、自分で取りに行くもの」だという気づきでした。
この記事では、民間で働き始めた僕が、
どのようにして“評価される働き方”を見つけていったのかを、
自衛官時代との違いや戸惑いを交えながら、リアルにお伝えします。
「自分の価値はこの先も通用するのか?」
そんな不安を抱える40代のあなたに、少しでもヒントになれば幸いです。
自衛隊から民間へ|“評価される働き方”はこう違った
自衛官としての勤務では、「決められた任務を確実に遂行すること」が何よりも大切でした。
与えられた役割を果たせば、それだけで“信頼”と“評価”が積み上がる──そうした価値観の中で、私は長年働いてきました。
ところが、民間企業に転職してから、その前提がまったく通用しないことに気づかされました。
「言われた通りにやっているのに、なぜ評価されないんだろう…?」
最初に感じたのは、この違和感でした。
GWOインストラクターとして安全教育に携わるようになり、自衛官時代の知識や指導経験を活かしているつもりでしたが、それでも思うように評価されない。
民間では、「自分で考え、主体的に行動し、結果を出す」ことが評価される。
どれだけ忠実に業務をこなしても、それだけでは評価の対象にならないのです。
自衛隊のように、与えられた枠の中で正確に動く能力よりも、
**自分から動く“能動性”や、課題を見つけて解決する“応用力”**の方が重視される──
それが民間の評価軸であり、「成果主義」という言葉の意味でもありました。
最初は戸惑いましたが、この違いを理解したことが、
自分の“働き方”を見直す大きな転機になったのです。
評価されるために僕が始めた「3つの行動」
評価されない理由が分かってからは、「ならば自分から動いてみよう」と思うようになりました。
具体的には、以下のような行動を始めたのです:
- 受講者の反応を踏まえて、カリキュラムの改善を提案
- トレーニング資材の配置を見直し、導線の最適化を実施
- 現場での課題をすぐ報告し、対応策までセットで提示
「自分にできることはないか」と常に考えて行動するようになったんです。
さらに、毎朝誰よりも早く出勤して施設の清掃を続けていたことが、思わぬ形で評価につながりました。
清掃は、自衛隊では“当たり前”の習慣でしたが、
民間ではそれが「プラスαの行動」として見られ、
「安全管理に信頼がおける人」として認識されるようになったのです。
大げさかもしれませんが、僕はこうした“小さな行動の積み重ね”で、
ようやく民間の中で「信頼される働き方」をつかみ始めました。
評価=収入に変わる民間の仕組みと達成感
最初のうちは年収が下がり、生活も少し苦しくなりました。
それでも、「今は学ぶ時期」と自分に言い聞かせて日々をこなしていました。
しかし、あるプロジェクトで中心的な役割を担い、
信頼を得たことがきっかけで、難易度の高い案件や出張の機会を任されるように。
「これは、自分の力で得た評価なんだ。」
そう感じた瞬間から、仕事への向き合い方が変わりました。
報酬も、成果と比例して少しずつ上がるようになり、
“自分の頑張りが、数字として返ってくる”という実感は、
公務員時代には味わえなかったものです。
この感覚が、僕にとって「働く喜び」の正体だったのかもしれません。
時間がなくても、家族との“つながり”を守る工夫
もちろん、いいことばかりではありません。
祝日や土日に関係なくトレーニングが入ることもあり、
代休もなかなか取りづらいのが現実です。
「今日、本当は休みだったのに……」
そんな日もあります。
けれど、それ以上に変わったのが「家族との向き合い方」でした。
- 平日はSNSグループチャットで小まめにやりとり
- 子どもたちの近況報告に即リアクション
- 週末は外食で夫婦の会話時間を確保
以前のように“量”で接する時間は減ってしまいましたが、
今は**“質でつながる”ことの大切さ**を意識しています。
自衛官のあなたへ──転職を迷う今こそ伝えたいこと
自衛隊に残っていれば、安定はあったと思います。
でも、今のように「自分の可能性」や「挑戦の面白さ」に出会うことはなかったでしょう。
民間に出て気づいたのは、
**「評価される世界は、想像以上に面白い」**ということです。
「もし今がんばれば、10年後にもっと上を目指せる。」
そう思えるようになった自分が、いま確かにここにいます。
そして最後に、今この瞬間も悩んでいる自衛官の方に、どうしても伝えたい。
あなたの価値は、どこに行っても変わりません。
むしろ“場所を変えることで気づけること”があります。
僕自身がそうだったからこそ、そう言い切れます。
あなたの一歩が、未来を変えるきっかけになることを、心から願っています。